第54回日本磁気共鳴医学会大会(JSMRM 2026、鹿児島)に参加しました

2026年10月16日から18日にかけて、鹿児島市の城山ホテル鹿児島で開催された第54回日本磁気共鳴医学会大会(JSMRM 2026)に参加しました。大会長は鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 放射線診断治療学分野の吉浦敬先生です。

今回の大会では、私たちのグループから以下の発表を行いました。

高堂裕平

  • シンポジウム10「AD画像診断と病態理解の最前線」(10月16日)
    「AD画像診断における脳萎縮と代謝MRIの再考」
  • シンポジウム14(JPC-JSMRM共催シンポジウム)「超偏極MRIの最前線:DNP・PHIP技術革新と脳アプリケーションの新展開」(10月17日)
    座長(北海道大学 松元慎吾先生と共同)、および「超偏極MRIの最前線:本シンポジウムの背景と展望」
  • 教育講演15「代謝計測と他核計測」(10月18日)
    「脳エネルギー代謝をどう読み解くか―MRSと超偏極MRIの基礎と解釈」

小野麻衣子 主任研究員

  • 一般演題(口述)「超偏極」(10月16日)
    「UV誘導型超偏極ピルビン酸を用いた脳代謝イメージング法の開発とアルツハイマー病態評価への応用」
  • 同セッションの座長(岐阜大学 松尾政之先生と共同)、および教育講演15の座長

植松明子 協力研究員

  • ポスター「分子・多核種・超偏極2」(10月17日)
    「1H MRSを用いたマウス脳代謝発達パターンの定量的解析」
JSMRM 2026シンポジウム14で講演する高堂裕平
シンポジウム14(JPC-JSMRM共催)での講演

シンポジウム14では、Aarhus大学/Polarize社のJan Henrik Ardenkjær-Larsen先生、GE HealthCareのArnaud Comment先生、NVision社のPascal Wodtke先生、北海道大学の松元慎吾先生をお迎えし、DNPとPHIPという二つの超偏極技術の最新動向から脳への応用までを議論しました。最後のパネルディスカッションでは、技術がどこまで来たかだけでなく、この技術を何のために、誰と一緒に育てていくのかという問いが議論の中心となり、大変印象に残りました。特に、超偏極13C MRIの開発を長年牽引してこられたDean Sherry教授からのご意見が刺さりました。DNPはもともと臨床医に疾患への新しい洞察を提供するために開発された技術であり、臨床医との本気の協働がなければその目的は果たせない。そうでなければ物理学者や工学者のための洗練された道具にとどまってしまう、という趣旨です。5月のISMRMで議論した「臨床的なキラーアプリケーションを育てる」という課題とも重なり、臨床医として、また研究者として、この言葉を重く受け止めています。

大会長の吉浦敬先生をはじめ、運営にご尽力いただいた鹿児島大学の皆様に心より御礼申し上げます。

投稿日:
カテゴリー: 未分類

画像バイオマーカーで読み解く 認知症の病態と診療の講演

札幌にて9月25日、表題のタイトルで講演させていただきました。

アルツハイマー病の脳萎縮と病態について、画像バイオマーカーを用いた検討内容を発表させていただきました。

発表を重ねるごとに何かしらの気づきがあり、自身の勉強になります。学んだことを研究と臨床に生かしていきたいと思います。

北海道脳神経外科認知症研究会の先生方(上山先生、鈴木先生)、会の開催に協力いただいたエーザイの皆様、貴重な機会をいただき大変ありがとうございました。

札幌は関東よりもずっと涼しかったです。とはいえ今年は関東にも秋がありそうでよかったです。

投稿日:
カテゴリー: 未分類

紫外線照射を用いた新しい超偏極MRI法で覚醒マウス脳のエネルギー代謝を計測

小野主任研究員らは、EPFLおよびPolarize社のAndrea Capozzi博士、Mor Mishkovsky博士らとの国際共同研究により、紫外線照射によって一時的に生成されるラジカルを利用した新しい超偏極13C MRI法を開発しました。スイス―日本国際共同研究プログラムの成果の一つです。

超偏極13C MRIは、生体内の代謝反応をリアルタイムに捉えることができる手法です。本研究では、ピルビン酸を重水素化することで超偏極性能を大きく向上させ、従来のトリチルラジカルを用いた方法に匹敵する性能を実現しました。

さらに、この方法を用いて覚醒マウス脳の13C MRSIを実施し、アルツハイマー病モデルマウスにおける脳代謝変化を捉えることに成功しました。この手法は、スイス留学時代の紫外線超偏極手法の成果を発展させたものであり、脳病態研究への応用を示した初めての報告となります。スイス留学時代の元同僚であり、現在も親しい友人でもあるAndrea Capozzi博士、Mor Mishkovsky博士らと、本研究を一つの成果としてまとめることができ、私自身にとっても思い入れの強い仕事となりました。

本成果は、覚醒状態の脳エネルギー代謝を評価する新しい技術基盤として、神経変性疾患をはじめとする脳疾患研究への応用が期待されます。

論文情報

Deuteration enhances UV-induced hyperpolarization of [1-13C]pyruvate to trityl-level performance in vitro and in vivo.

Ono M, Capozzi A, Hirata K, Yamauchi C, Saito K, Mishkovsky M, Takado Y.J Cereb Blood Flow Metab. 2026 Aug 19:271678X261482014. doi: 10.1177/0271678X261482014.

	
投稿日:
カテゴリー: 未分類

MR in Psychiatry Workshop(ローザンヌ)にて口頭発表を行いました

2026年8月24日から26日にかけて、スイス・ローザンヌのStarling Hotel Lausanneにて、ISMRMのStudy GroupであるMR in Psychiatry主催のWorkshopが開催されました。

本WorkshopのChairを務めたDr. Lijing Xinは、私のEPFL留学時代の同僚です。今回はOrganizerの一人に加えていただき、準備・運営を含む一連の活動に携わりました。

Dr. Lijing XinによるOpening Remarks

3日間にわたり、精神疾患を対象とした最先端のMR研究を学ぶとともに、第一線で活躍する研究者の方々との濃密な議論や交流の機会を得ることができました。米国や中国をはじめとする各国から、大規模研究コンソーシアムの取り組みについて講演があり、日本からは筑波大学の根本清貴先生に、精神疾患研究コンソーシアムCOCOROについてご講演いただきました。国際的な研究連携の現状に触れ、これまでの研究を別の角度から捉え直すきっかけにもなる、大変刺激的なWorkshopとなりました。

滞在中には、スイス留学時代の同僚とランチをともにしたり、当時の友人宅に招いていただいたりと、旧交を温めることもできました。ローザンヌは私にとって、研究者として過ごした思い出深い土地です。その地で再び研究発表を行う機会をいただけたことを、大変光栄に思います。今回も、MRSスペクトルと山々を重ねた恒例のスライドを紹介しました。

海外においても、競争的研究資金の獲得はますます厳しくなっているとの話が聞かれました。今回生まれた交流や共同研究を大切にし、国際的な連携を通じて、今後もよい研究成果につなげていきたいと思います。

Lavaux地区の風景。Workshopの空き時間に同僚が案内してくれました

 

投稿日:
カテゴリー: 未分類

小野主任研究員が第37回臨床MR脳機能研究会「最優秀賞」を受賞

2026年7月25日に開催された第37回臨床MR脳機能研究会において、小野麻衣子主任研究員が、一般演題「最優秀賞」を受賞しました。

受賞演題は、
「¹H MRSで捉えるアストロサイト病態:myo-inositolを介した神経疾患病態のin vivo評価」
です。

本研究は、¹H MRSで計測されるmyo-inositolを指標として、神経疾患におけるアストロサイト病態を生体内で評価する意義を検討したものです。脳エネルギー代謝と神経・グリア相互作用の解明を目指すBEMプロジェクトの研究成果の一つです。

第37回臨床MR脳機能研究会「最優秀賞・優秀賞」受賞者発表

投稿日:
カテゴリー: 未分類

Japan Traverse Neurology Conferenceにて特別講演を行いました

2026年7月3日、Japan Traverse Neurology Conferenceにて、「画像バイオマーカーで読み解く認知症の病態・診断・治療」と題して特別講演を行いました。

本講演では、アルツハイマー病診断基準の変遷、アミロイドPET・タウPET・MRIを含む画像バイオマーカーの臨床的意義について概説しました。特に、高齢者における海馬萎縮をアルツハイマー病の所見として単純に捉えるのではなく、TDP-43病理、LATE-NC、AGDなどの加齢関連病理を含めて解釈する重要性についてお話ししました。

また、今後の認知症画像研究の展望として、MRS/MRSIや超偏極13C MRIを用いた脳エネルギー代謝・アストロサイト機能障害の可視化についても紹介しました。

ご座長をお務めいただきました昭和医科大学脳神経内科学部門 村上秀友教授をはじめ、ご参加いただいた先生方ならびに関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

投稿日:
カテゴリー: 未分類

ISMRM 2026参加報告: 脳エネルギー代謝イメージングの今後

2026年5月、南アフリカ・ケープタウンで開催されたInternational Society for Magnetic Resonance in Medicine(ISMRM)Annual Meetingに参加しました。本学会では、超偏極MRI、MRSI、PETを含む脳エネルギー代謝イメージングの今後について、多くの重要な議論が行われました。

今年特に印象的であったのは、超偏極MRI分野における「pyruvate依存」についての議論です。Hyperpolarization Study Groupのパネルディスカッション “Has the field become too dependent on pyruvate?” では、Dr. Martin GrasheiとDr. Andrea Capozziの司会のもと、Dr. Kayvan Keshari、Dr. Renuka Sriramとともにパネリストとして登壇する機会をいただきました。本セッションでは、超偏極[1-13C]pyruvateが現在の分野を牽引してきた意義を確認するとともに、今後の新規プローブ開発、疾患応用、そして臨床実装に向けた課題について活発な議論が行われました。

HP-MR study GroupでのPanel discussion

私自身は、この議論をFDG-PETの発展過程と重ね合わせながら考えていました。PETでは多くの新規トレーサーが開発されてきましたが、真に広く普及したのはFDGでした。その背景には、技術的な完成度だけでなく、「どの臨床課題に対して、どのような価値を提供できるか」が明確であったことが大きいと考えています。超偏極MRIにおいても、単なる技術開発にとどまらず、臨床的なキラーアプリケーションを育てていく視点が今後ますます重要になると感じました。

また、今回の学会では、覚醒マウスを用いたUV-induced hyperpolarizationによるin vivo 13C-MRIに関するポスター発表も行いました。超偏極技術の新しい展開として、今後の脳代謝研究への応用が期待されます。

今回のISMRMでは、Polarize、GE HealthCare、NVision Imaging Technologiesなど、超偏極MRIや脳代謝イメージングに関わる国際的な企業・研究者との意見交換を行いました。また、JSMRMおよびISMRM-JPCに関連する今後の国際連携や招待講演についての調整も進めることができました。

脳エネルギー代謝イメージングは現在、「代謝物を見る時代」から、「代謝フラックス・グリア機能・脳ネットワークを統合的に理解する時代」へ移行しつつあるように感じています。この流れは、神経変性疾患、精神疾患、さらには全身ストレスに伴う脳機能障害の理解においても、今後ますます重要な役割を果たしていくと期待されます。

南アフリカは初めて訪れた国ですが、レストランの質の高さに驚きました。ヨーロッパで食べるクオリティが手ごろな価格で大変ありがたかったです。 国の文化についても改めて学ぶ機会もあり、今の自分たちの環境がいかに恵まれているか、痛感しました。自分たちの研究がいくらかでも世界を良くしていけたらいいなと思います。微力ながら頑張りたいと思います。

学会場からホテルに向かう道すがら(道に迷い。。)

投稿日:
カテゴリー: 未分類

PSPにおけるアストロサイト主導の脳エネルギー代謝異常の解明

Altered astrocyte–neuron crosstalk in progressive supranuclear palsy: Integrated evidence from proteomics and magnetic resonance spectroscopy

上記の論文が、病理学分野のトップジャーナルであるActa Neuropathologicaに受理されました。小野主任研究員が筆頭著者を務めた研究成果です。

本研究では、進行性核上性麻痺(PSP)において、アストロサイトの機能異常が脳エネルギー代謝の破綻および病態形成に深く関与していることを明らかにしました。

プロテオミクス解析、病理学的検討、さらにin vivo磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)を統合することで、アストロサイトと神経細胞の代謝的連関の異常が、脳の脆弱性と密接に関係していることを示しています。

本研究は、広島大学(内田康雄先生)によるプロテオミクス解析、新潟大学脳研究所(清水宏先生・柿田明美先生)からの病理試料提供を含む共同研究として実施され、2022年より進めてきたAMED認知症研究開発事業の成果です。

本研究に先立ち、我々はin vivo MRSを用いてPSP患者におけるアストロサイト反応性の上昇と乳酸増加を報告しました(Hirata et al., Annals of Neurology, 2024)。本研究では、その知見をさらに発展させ、プロテオミクスおよび病理学的解析を統合することで、アストロサイト–神経代謝連関の破綻という機構的理解に到達しました。これらの結果は、アストロサイトの変化がタウ病理に先行しうること、ならびに脳エネルギー代謝異常の初期段階からアストロサイトが病態に関与する可能性を示唆しています。

本研究は、「脳エネルギー代謝ネットワーク」の理解を通じて神経変性疾患の本質に迫る当研究グループの取り組みの一環です。今後も、脳エネルギー代謝と脳機能の関連の解明を目指し、研究を推進してまいります。

[AcceptedManuscript ]
最終版(出版社版)は以下をご参照ください: https://doi.org/10.1007/s00401-026-03020-7

投稿日:
カテゴリー: 未分類

Baden-Württemberg: Your European Hub for AI and Quantumでの講演

表題のイベントにお招きいただき、日立にて講演を行いました。

産業界からの参加が多く、アカデミアとは異なる視点が求められる場でしたが、自身の研究内容をどのように分かりやすく伝えるかを改めて考える良い機会となりました。

すべてを十分に伝えきれたとは言えない部分もありますが、一部の方には関心を持っていただけた手応えもあり、有意義な機会となりました。

駅から望む海も美しく、良い気分転換にもなりました。

本イベントにお招きいただいたBW_iおよびHITSをはじめとする関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。

投稿日:
カテゴリー: 未分類

ADPD2026にてポスター発表:神経グリア代謝からみたPSP病態の再考

2026年3月16日から21日にかけてコペンハーゲンで開催されたADPD2026に参加し、ポスター発表を行いました。本学会への参加は今回で2回目となります。

発表演題:
Altered astrocyte–neuron crosstalk in progressive supranuclear palsy: integrated evidence from proteomics and magnetic resonance spectroscopy

ADPDは、アルツハイマー病およびパーキンソン病に関する基礎から臨床までの研究を横断的に扱う国際学会であり、最新の知見を包括的に把握できる機会となりました。本研究グループの発表は比較的専門性の高い領域に属するものでしたが、関連するin vitro研究との共通性も確認され、研究の方向性を再検討する上で有益な示唆が得られました。
本研究は、神経グリア代謝およびエネルギーフローの観点から神経変性疾患の病態理解を再構築する試みであり、今後の展開が期待されます。また、海外研究者との議論や新たな交流を通じて、今後の共同研究の可能性についても有意義な機会となりました。

次回は2027年にバルセロナでの開催が予定されており、引き続き成果発信を行っていく予定です。

 

ADPD2026の夜、コペンハーゲンの街中での夕食後

投稿日:
カテゴリー: 未分類