プロフィール

脳のエネルギー代謝(グルコース代謝)に注目し、先進的MR技術(超偏極MRやMRスペクトロスコピー等)を用いて、マウスからヒトまでを対象にトランスレーショナル研究をしています。認知症を含む種々の精神神経疾患の病態解明、診断薬および治療薬の開発を実現したいと考えています。また、近年、脳疾患と全身の健康との関連性が指摘されていることから、マルチモーダルイメージングを活用した幅広い研究を行っていく予定です。国内、海外問わず、共同研究の機会や興味のある学生の参加も歓迎しますので、ぜひお声掛けください。

連絡先 takado.yuhei * qst.go.jp *は@に置き換えて下さい。

専門領域

〈研究〉

  • 脳エネルギー代謝
  • イメージング
  • トランスレーショナルリサーチ

〈臨床〉

  • 脳神経内科領域(認知症、神経変性疾患等、神経内科領域全般)

略歴

  • 2001年  新潟大学 医学部卒業、新潟大学脳研究所神経内科入局
  • 2010年  新潟大学医歯学総合研究科博士課程修了(統合脳機能研究センター)(医学博士)
  • 2010年  スイス連邦工科大学ローザンヌ校 博士研究員
  • 2015年  独立行政法人・放射線医学総合研究所・脳機能イメージング研究部・研究員
  • 2016年  国立研究開発法人・量子科学技術研究開発機構・放射線医学総合研究所・脳機能イメージング研究部・研究員
  • 2020年  同 脳疾患トランスレーショナル研究グループ・主幹研究員、
  • 2021年  国立研究開発法人・量子科学技術研究開発機構・量子生命医学部門・量子医科学研究所・脳機能イメージング研究部・脳疾患トランスレーショナル研究グループ・主幹研究員
  • 2022年 国立研究開発法人・量子科学技術研究開発機構・量子生命医学部門 量子生命科学研究所・主幹研究員 
  • 2022年 国立研究開発法人・量子科学技術研究開発機構・量子生命科学研究所・量子生命スピングループ 主幹研究員 

学会活動等

【資格】

神経内科専門医・指導医、認知症専門医・指導医、内科学会認定医、難病指定医

【学会活動等】

日本神経科学学会(評議員)、日本磁気共鳴医学会(代議員)、日本認知症学会(代議員)、臨床MR脳機能研究会(世話人、事務局長)、日本脳神経核医学研究会(世話人)

【その他所属学会】

日本神経学会、日本内科学会、国際磁気共鳴医学会、タウリン研究会

 

略歴2(随想風)

2001年に新潟大学を卒業し、2年間の初期研修を新潟大学医学部附属病院と小千谷総合病院でうけさせていただいた。初年度は大学病院で半年間の神経内科での研修と、半年間の第二内科の研修であった。半年間の神経内科では、諸先輩にお世話になり(ごちそうになり)ながら、多くのことを学ばせていただいた。後半の第二内科では腎臓・呼吸器・膠原病等と多数の内科疾患を対象とした内科診療の基本を半年間学ばせていただき、その後の医者人生に大きく役立つこととなった(特に、今も行う慢性期病院での当直に)。2年目の小千谷総合病院では、神経内科教室出身の大先輩(登木口進先生)の薫陶を受けることができたのは幸いであった。小千谷の美しい土地で脳画像と絡めて脳を扱う学問に打ち込めたのはその後に神経内科医としてAcademic Physicianを目指す原動力となったと実感している。
2年間の初期研修ののちに新潟大学脳研究所神経内科(西澤正豊教授)に入局させていただいた。脳を扱う科を選んだ理由は、まだまだ分からないことがたくさんあり、一生飽きることがないだろうと考えたためである(たぶん)。入局後は同期の仲間たちと切磋琢磨しながら、毎週カンファレンスの準備に力を注いだ。その間、電気生理検査や放射線などもローテーションさせていただき、幅広く知識を身に着けることができたと思う。今思い出すと、実によく練られたカリキュラムで、恵まれた環境に置かれていたと思う。
その後、後期研修として秋田赤十字病院に赴任した。秋田赤十字病院は、第一線の野戦病院であり、リアルな重症患者さんがバンバン受診された。病棟・外来診療では、石黒先生、小出先生にお世話になりながら、実に多彩な患者さんを担当させていただいた。急性期のStrokeはもちろん、脳炎やCIDP、特殊な神経変性疾患など、大学病院並みに多彩な症例であったと思う。未熟さ故にいろいろ失敗もあったが、大きな問題に至らなかったのは周りのサポートのお影であったのだと、つくづく思う。忙しい診療の合間に、製薬会社の方々と医療スタッフで楽しんだフットサルは最高であった。極寒の横手市のドーム会場での大会に参加して勝利に興奮した瞬間はとても素敵な思い出となっている。
再び新潟大学に戻り、大学院に入学させていただいた。研究テーマは磁気共鳴画像(MRI)を用いた内容で、MRIのパイオニア的存在の故中田力先生が開設された統合脳機能研究センターで研究をさせていただいた。指導教官の五十嵐博中先生、メンターの寺島健史先生にご指導をいただき、磁気共鳴スペクトロスコピーを用いた研究で学位を取得させていただいた。学生時代にはまったく縁のなかった大学院同期の浦川君とは、量子力学の学習からお付き合いいただき、とても感謝している。
 研究生活を行う中で、もっと研究を続けたいとの思いが沸き起こり、新たなイメージング手法を学ぶ目的で、2010年よりスイスのローザンヌにあるスイス連邦工科大学に留学の機会を得た。(実際以上にはるかに)良い評価点をつけてくださった大学院の事務の方々、推薦状をいただいた西澤先生・五十嵐先生のおかげでスイス政府の奨学金を獲得することができ、すばらしい留学生活をスタートすることができた。
 スイスでの5年間は、医者であることをまったく忘れて研究者として没頭することができた、非常に貴重な期間となった。高堂先生、ではなく、一人のYuheiに戻った5年間であった。アルプス山脈をレマン湖越しにのぞみながらのカフェテリアでのランチ、夕方のTian君(ラボメイトであり親友)とのカプチーノを飲みながらの哲学談義、週末の家族とのハイキング、地元サッカークラブに所属してのサッカー活動、どれをとっても最高の思い出である。さしたる実験技術のなかった自分に研究のチャンスを与えてくれたDr. Arnaud Comment、そしてProf. Anders Meibom、そして多くのスイスの同僚・友人たちに感謝したい。
スイス連邦工科大学からみたスイスの山並
なお、余談?であるが、私はMRSという手法を脳研究に好んで使う。その理由は自分でもよくわかっていない。もしかすると、故郷富山の立山連峰の山並みが、MRSでのスペクトルに似ているからかもしれない。そしてその山並みは、スイスの山並みとも似ているのである。故中田力先生から、「将来もMRSをやるの、いいね、今後伸びると思うよMRS。(君の恩師の)五十嵐先生がMRSの日本一だから」、と言われたことも、脳科学業界での浸透に時間がかかってもMRSを使うことを辞める気がしない要因かもしれない。
 その後、放射線医学総合研究所にご縁をいただき2015年から研究員として着任させていただいた。数年間のブランクがあり、臨床の勘を戻すにはしばらく時間がかかったが、そんな自分を非常勤で雇ってくださりご指導くださっている千葉県内の病院の先生方(特に新潟脳研神経内科大先輩の湯浅龍彦先生)および関係各位にも深謝申し上げたい。
 今後はこれまで培ってきた脳神経内科医としての経験、脳科学・イメージング研究者としての経験をハイブリッドさせ、認知症や神経変性疾患の病態を明らかにし治療法を開発することが目標である。その一歩として、日々、筋トレに励み、筋肉を少しずつ成長させることに心血を注いでいる(Arch Neurol 2010; 67(4)428-433)。今後数年間は、新潟脳研の出身である、ということに誇りをもって脳神経内科医としてのバッググランドを生かした研究を展開していきたいと感じている(昔から、表には出ませんが割と熱い性格です)。大学院での研究開始から現在に至るまでの奔放な希望を尊重していただいた西澤前教授、小野寺教授をはじめとする新潟脳研脳神経内科の先生方にも、内外分け隔てなく連携させてくださることに深謝申し上げたい。
 ここまで思い出しながら書いてみると、ずいぶんとたくさんの先生方や関係各位の皆様にお世話になってきたことに気づかされる。その時々の自分は、自分が目指すもの(今も何かはよくわかっていませんが)を必死においかけており、そういう成り立ちが十分に見えていなかったと思う。この場を借りて、御礼を申し上げるとともに、恩に報いていないことに陳謝申し上げたい。
(本文は新潟医学会雑誌への寄稿文をWebページ用に改訂したものである)