歩くことが認知症の予防に!

Physical activity as a modifiable risk factor in preclinical Alzheimer’s disease
というタイトルの論文がnature medicineに報告されました。備忘録として要点を記録します。
  • 高い身体活動量(特に歩数の増加)は、アミロイドβ(Aβ)陽性高齢者におけるタウ蓄積を抑制し、認知および機能低下を遅らせる。

  • Aβ量そのものには影響しないが、タウ進展という「次の段階」にブレーキをかける可能性を示唆。

  • 特に座位中心の生活をしている高齢者で、歩数を5,000〜7,500 歩/日まで増やすだけでも大きな効果が期待できる。

  • 今後は、身体活動介入試験(ランダム化比較試験)で因果関係の検証が必要。

ということで、これまでは認知症予防に1日10000歩がよいのかと認識していましたが、認知症予防の観点では5000歩でも効果がありそうです。

認知症予防効果についてはいろいろ検証は必要と思いますが、歩くことが認知機能に悪いことはないと思いますので、積極的に歩きましょう。

血清GFAPとアルツハイマー病患者脳病理との関連

Serum GFAP levels correlate with astrocyte reactivity, post-mortem brain atrophy and neurofibrillary tangles Sánchez-Juan et al. Brain 2024

血清中のGFAPがアルツハイマー病患者脳の病理評価GFAP染色、脳萎縮、神経原線維変化との関連があったことを示した論文。血液バイオマーカーと脳病理を同一被検者で実施された検討。私たちの報告では血漿中のGFAPがMRSで測定するアストロサイトマーカーであるミオイノシトールと相関を示したことを述べていますが、同様の事象を病理でも検証された重要な報告と思います。血漿でなくて血清である点は、こちらの論文で血清も血漿もどちらも同様の意義があることが報告されています。他疾患(例えばPSP)における血液GFAPと脳病理でのGFAPとの関係はどうであるのか、今後の課題と思います。

アルツハイマー病における脳内の乳酸

こちらの論文に https://www.neurology.org/doi/abs/10.1212/WNL.0000000000209378、私たちの最近の出版論文 https://brainenergy.xsrv.jp/169-2/ が引用され、アルツハイマー病における脳内の乳酸がアストロサイトの活性化と関連する可能性について言及されています。脳内の乳酸は健常脳および疾患脳において何をしているのか、私たちはMRSや超偏極MRSを使ってその謎に迫る研究を進めています。