2024年7月29日、国立精神・神経医療研究センター遺伝子疾患治療研究部 青木吉嗣部長にお誘いいただき、MRS/超偏極MRSによる脳エネルギー代謝研究に関する講演をさせていただきました。たくさんの質問をいただき、自身の研究内容についての新たな気づきが得られました。この度は大変ありがとうございました。
秋田で講演させていただきました
新潟大学脳研究所脳神経内科の医局時代から大変お世話になっている秋田赤十字病院脳神経部長 原賢寿先生にお招きいただき、第79回秋田脳神経画像研究会で講演をさせていただきました。アルツハイマー病のPETでの診断の現状から、MRSでの研究成果まで、マルチモダルイメージングの活用例も交えてお話させていただきました。

20年ぶりにお目にかかる先生方もご参加くださり、当時を懐かしく思い出しました。会の後の団欒では免疫性疾患の治療がかなり進んでいることを拝聴し驚きました(臨床のほうのUpdateの必要性も実感)。炎症・免疫との関連が示唆されるアルツハイマー病も免疫性疾患での成功から学ぶことでより良い治療法の開発もできる時代が来るのでは(頑張らないと)と思いました。

大賀ハス?でしょうか。駅のすぐ近くにきれいな花が沢山さいていました。
原先生及び研究会関係の先生方・会を準備してくださったGEヘルスケアファーマの皆様、貴重な機会をありがとうございました。
DTUでのセミナーと実験
スイス時代の元同僚と共同研究プロジェクトの一環で、デンマーク工科大学にて実験、ワークショップでのセミナーをしてきました。快晴で湿度もひくく、また学生は夏休みシーズンに入っていて人もまばらでした。





最終日の実験が終わった夜は、コペンハーゲンに移動し夕飯後、街中を散策しました。有名な観光地も少し覗いてきました。

3日間、盛り沢山の実験ができました。21時を過ぎても明るいため疲れも麻痺し、朝は4時すぎから明るいので早朝から目が覚め、というサイクルの繰り返しでした。3日間で共同研究が大きく進展しスイスの元同僚とも近況を語り合え、DTUにも新たな知り合いができ、と収穫大の短期出張でした。
2024 ISMRM Summa Cum Laude Merit Award
ISMSM in Singaporeでの平田浩聖先生の発表「In Vivo Assessment of Astrocyte Reactivity in Patients with Progressive Supranuclear Palsy」がISMRM Summa Cum Laude Merit Awardを受賞しました!各発表カテゴリー中でトップ5%の高評価の若手発表者に与えられる賞だそうです。おめでとうございます!
Imaging a-synuclein pathologies in animal models and patients with Parkinson’s and related diseasesの論文がでました
メンバー小野麻衣子研究員の共同筆頭論文がNeuron誌に公開されました。長年の労作、大変おめでとうございます!https://authors.elsevier.com/sd/article/S0896-6273(24)00332-5
LCModelのユーザーズミーティングで講演を行いました
2024年6月1日、LCModelユーザーズミーティングで講演を行って参りました。貴重な機会をいただきありがとうございました!
PSP病態におけるアストロサイト活性化
論文がオンラインで掲載されました!
進行性核上性麻痺(PSP)の前部帯状回におけるアストロサイト活性化の重要性をMRS、バイオマーカー、PET及び病理評価を用いた検討により報告しました。前部帯状回領域ではタウの蓄積が顕著になる前にアストロサイトの活性化が生じている可能性を示しています。前回のアルツハイマー病病態の後部帯状回に続き(https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.26797)、PSP病態でも乳酸濃度の上昇がみられ、アストロサイト活性化に関与するエネルギー代謝異常の存在が示唆されました。エネルギー代謝物のフラックスを非侵襲に評価する超偏極MRIが脳病態評価に有用な可能性がありそうです。
筆頭著者の平田浩聖先生 Dr. Kosei Hirata、おめでとうございます!
ISMRM 2024 in Singaporeに参加しました
メンバーとともにISMRMに参加してきました。Educationalセミナー、Power pitchからのデジタルポスター、Traditional poster、Oral presentationと盛り沢山でした。







学会では多くの海外の友人たちが元気に活躍されている姿を見ることができ、大変刺激になりました。シンガポールは暑い街でしたが日本に似ている部分も多く、快適に過ごせました。フードコートでのバクテーやチキンもおいしかったです。研究のさらなる発展、そしてその研究が医療への貢献につながるように、頑張っていきたいと思います。
血清GFAPとアルツハイマー病患者脳病理との関連
Serum GFAP levels correlate with astrocyte reactivity, post-mortem brain atrophy and neurofibrillary tangles Sánchez-Juan et al. Brain 2024
血清中のGFAPがアルツハイマー病患者脳の病理評価GFAP染色、脳萎縮、神経原線維変化との関連があったことを示した論文。血液バイオマーカーと脳病理を同一被検者で実施された検討。私たちの報告では血漿中のGFAPがMRSで測定するアストロサイトマーカーであるミオイノシトールと相関を示したことを述べていますが、同様の事象を病理でも検証された重要な報告と思います。血漿でなくて血清である点は、こちらの論文で血清も血漿もどちらも同様の意義があることが報告されています。他疾患(例えばPSP)における血液GFAPと脳病理でのGFAPとの関係はどうであるのか、今後の課題と思います。
アルツハイマー病における脳内の乳酸
こちらの論文に https://www.neurology.org/doi/abs/10.1212/WNL.0000000000209378、私たちの最近の出版論文 https://brainenergy.xsrv.jp/169-2/ が引用され、アルツハイマー病における脳内の乳酸がアストロサイトの活性化と関連する可能性について言及されています。脳内の乳酸は健常脳および疾患脳において何をしているのか、私たちはMRSや超偏極MRSを使ってその謎に迫る研究を進めています。
